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花粉症とステロイド注射の選択肢
花粉症とステロイド注射の選択肢

花粉症とステロイド注射の選択肢

花粉症の症状が重い場合、薬やスプレーだけでは効果が十分でないことがあります。そのようなケースでは、ステロイド注射(通称:花粉症注射)が一つの治療法として注目されています。ステロイド注射は、症状を長期間抑える効果が期待できる一方で、副作用や適応条件についても注意が必要です。本記事では、花粉症に対するステロイド注射の仕組み、効果、リスク、そして利用を検討する際の注意点について解説します。


花粉症治療におけるステロイド注射とは?


ステロイド注射の仕組み

ステロイド注射は、抗炎症作用を持つ薬剤を直接体内に注射することで、アレルギー反応を抑え、症状を和らげる治療法です。ステロイドは、体内で自然に生成されるホルモンを人工的に補うもので、強力な抗炎症効果が特徴です。


ステロイド注射が効果的な理由

従来の内服薬や点鼻薬は、効果が現れるまでに時間がかかる場合がありますが、ステロイド注射は即効性が高く、1回の注射で数週間から数ヶ月にわたり症状を抑えることが可能です。そのため、花粉症の症状が重い方や、短期間で確実に症状を抑えたい方に選ばれることがあります。


ステロイド注射のメリットとデメリット


メリット

  • 即効性:注射後すぐに効果を実感できることが多いです。
  • 長期間の効果:1回の注射で数週間から数ヶ月間、症状を軽減できます。
  • 簡便性:日常的に薬を服用する必要がなく、忙しい方に適しています。


デメリット

  • 副作用のリスク:骨密度の低下、血糖値の上昇、感染症リスクの増加などが報告されています。
  • 医師の指導が必要:適応条件が限られており、頻繁な使用は推奨されていません。
  • 全員に適しているわけではない:持病がある方や妊娠中の方は使用できない場合があります。
花粉症に対してのステロイド注射は保険適応外のため自由診療となります。


ステロイド注射の利用に適した人


重度の花粉症患者

内服薬や点鼻薬では症状が改善しない場合や、生活の質が著しく低下している場合に考慮されます。


長期間の外出や特定のイベントを控えている方

仕事や旅行、結婚式など、大切なイベントを控えており、短期間で確実に症状を抑えたい場合に利用されることがあります。


ステロイド注射を受ける際の注意点


医師との相談が必須

ステロイド注射は強力な治療法ですが、副作用のリスクがあるため、必ず医師と相談した上で実施する必要があります。特に、持病がある方や妊娠中・授乳中の方は慎重に検討しましょう。


使用頻度に注意

ステロイド注射は、繰り返し使用することで副作用のリスクが増大するため、1シーズンに1〜2回までに制限されることが一般的です。


注射後の体調管理

注射後に異常な体調の変化や強い副作用が現れた場合は、速やかに医師に相談してください。定期的な健康チェックも推奨されます。


ステロイド注射以外の花粉症治療法


抗ヒスタミン薬

軽度から中程度の花粉症には、抗ヒスタミン薬が一般的です。眠気が少ない第二世代の抗ヒスタミン薬が広く使用されています。


点鼻薬

鼻づまりが強い場合には、局所的に効果を発揮する点鼻薬が有効です。ステロイド成分を含む点鼻薬もありますが、全身への影響が少ないため比較的安全です。


アレルゲン免疫療法

根本的な治療を目指す場合には、アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法など)が選択肢となります。数年間継続する必要がありますが、症状の軽減や治癒が期待されます。


ステロイド注射に関するよくある質問


ステロイド注射は誰でも受けられますか?

持病がある方や妊娠中の方、特定の薬剤にアレルギーがある方は適応外となる場合があります。必ず医師に相談してください。


副作用が心配ですが大丈夫でしょうか?

副作用のリスクはありますが、適切な頻度で使用し、医師の指導を受けることで安全性を高めることができます。注射後に異常を感じた場合は速やかに医師に報告しましょう。


ステロイド注射を毎年受けても大丈夫ですか?

頻繁な使用は推奨されていません。副作用のリスクを最小限に抑えるため、1シーズンに1〜2回までが目安です。


まとめ

ステロイド注射は、重度の花粉症に対する即効性の高い治療法ですが、利用にはリスクと制限があります。症状が重く日常生活に支障が出ている場合は、医師と相談の上、適切な治療法を選択してください。また、ステロイド注射に加え、生活環境の改善や根本治療への取り組みも大切です。快適な春を過ごすために、自分に合った花粉症対策を見つけましょう。


執筆者兼監修者プロフィール

上原武晃

湘南リウマチ膠原病内科

院長 上原 武晃

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