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生理と関節の痛み:その原因と対処法
生理と関節の痛み:その原因と対処法

はじめに:生理中に関節が痛むのはなぜ?

生理中に関節の痛みを感じることは珍しくありません。普段は痛みを感じない関節が、生理期間中に特に敏感になり、不快感を覚えることがあります。これはホルモンバランスや体内の炎症反応、血行不良などが関与していると考えられます。本記事では、生理中の関節痛の原因と、その緩和方法について詳しく解説します。


生理中に関節が痛む原因


1. ホルモンバランスの変化

生理中、体内のホルモン(特にプロゲステロンやエストロゲン)のバランスが急激に変化します。この変化が関節の周囲の筋肉や靭帯に影響を与え、痛みや違和感を引き起こす可能性があります。


2. 炎症の影響

生理中に分泌される「プロスタグランジン」という物質は、子宮収縮を促し生理痛を引き起こすことで知られています。しかし、この物質は全身に炎症反応を引き起こし、関節にも影響を及ぼすことがあります。


3. 血行不良

生理中は冷えやすく、血行が悪くなることで関節に十分な酸素や栄養が届かず、痛みを感じる場合があります。特に手足の関節に痛みやこわばりを感じることが多いです。


4. ストレスや疲労

生理中のストレスや疲労が体全体のバランスを崩し、関節の違和感や痛みを増幅させることがあります。特に体が冷えている場合、痛みが悪化することが知られています。


生理中の関節痛を和らげる方法


1. 体を温める

血行を改善するために、体をしっかり温めることが重要です。以下の方法を試してみましょう:

  • 温かい飲み物:ジンジャーティーやハーブティーで体を温める。
  • 入浴:38~40℃のぬるめのお湯にゆっくり浸かる。
  • カイロの活用:関節が痛む部位や腰をカイロで温める。

2. 軽いストレッチや運動

適度な運動は血行を良くし、関節の痛みを緩和します。ヨガやストレッチ、軽いウォーキングなどを取り入れてみてください。ただし、無理のない範囲で行うことが大切です。


3. 栄養を意識した食事

関節の痛みを軽減するには、以下の栄養素を含む食事が効果的です:

  • 抗炎症作用のある食品:オメガ3脂肪酸を含む青魚(サバ、イワシなど)、緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど)
  • マグネシウム:筋肉の緊張を和らげる作用があります。バナナ、アーモンド、カボチャの種を取り入れる。
  • ビタミンD:関節の健康維持に役立ちます。キノコ類や魚介類を積極的に摂りましょう。

4. 鎮痛薬の使用

市販の鎮痛薬(イブプロフェンやロキソニン)は、プロスタグランジンの分泌を抑え、関節の痛みを軽減するのに役立ちます。痛みがひどい場合は、医師に相談して適切な薬を処方してもらいましょう。


病院を受診すべきタイミング

以下の症状がある場合は、早めに医師に相談してください:

  • 生理以外の時期にも関節痛が続く
  • 関節の腫れや炎症が見られる
  • 痛みが強く、日常生活に支障をきたしている
  • 他の異常(発熱や倦怠感など)が併発している

これらの症状は、リウマチや子宮内膜症といった疾患が隠れている可能性もあります。


生理中の関節痛に関するよくある質問


Q1: 生理中に関節痛を感じるのは普通ですか?

生理中の関節痛は珍しいことではありませんが、痛みが強かったり頻繁に起こる場合は、何らかの疾患が関与している可能性があります。医師に相談してみましょう。


Q2: 生理中の関節痛を予防するには?

体を冷やさないことが最も重要です。また、日頃からバランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、ホルモンバランスを整えることが予防につながります。


Q3: サプリメントで関節痛を軽減できますか?

魚油(オメガ3脂肪酸)やビタミンDのサプリメントは、炎症を抑え、関節の健康を保つのに役立つ場合があります。ただし、医師や薬剤師と相談してから使用することをおすすめします。


まとめ

生理中の関節痛は、ホルモンバランスや炎症反応、血行不良が原因となる場合が多いです。温めるケアや軽い運動、栄養バランスの取れた食事を取り入れることで、症状を軽減することが可能です。痛みが続く場合や日常生活に支障をきたしている場合は、早めに医師に相談し、適切な治療を受けましょう。健康的な生活習慣を心がけることで、生理中の不快な症状を和らげることができます。


執筆者兼監修者プロフィール

上原武晃

湘南リウマチ膠原病内科

院長 上原 武晃

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