茅ヶ崎、辻堂、藤沢｜湘南リウマチ膠原病内科

はじめに

リウマチは、関節を中心に体に炎症が広がり、痛みやこわばりを引き起こす慢性疾患です。多くの患者がリウマチの治療法として西洋医学に頼りますが、近年、漢方治療も補完的なアプローチとして注目されています。特にリウマチの症状を和らげ、患者のQOL（生活の質）を向上させるために漢方が利用されることが増えてきました。

この記事では、リウマチ治療における漢方の役割やその効果、具体的な漢方薬の種類について解説していきます。リウマチ治療に関心がある方や、漢方治療を考えている方にとって役立つ情報を提供できれば幸いです。

リウマチとは？

リウマチは自己免疫疾患の一種で、免疫システムが誤って自分の体の組織を攻撃してしまうことによって引き起こされます。リウマチの主な症状としては、関節の腫れや痛み、朝のこわばり、疲労感が挙げられます。症状が進行すると、関節の変形や機能低下が生じ、日常生活に支障をきたすことがあります。

リウマチの治療は通常、西洋医学に基づいた薬物療法やリハビリテーションが中心となります。しかし、長期間の薬物治療には副作用のリスクが伴うことがあるため、患者によっては自然療法や漢方治療を補完的に取り入れることがあります。

漢方治療の特徴

漢方治療は、中国から日本に伝わった伝統的な医学体系で、体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めることを目的としています。漢方では、患者の体質や症状の特徴を「証（しょう）」という概念で分類し、それに応じた治療法を選択します。これにより、患者ごとの体質や状態に応じた個別の治療が行われるのが特徴です。

リウマチに効果があるとされる漢方薬

漢方治療において、リウマチに対して効果が期待できるとされる代表的な漢方薬をいくつか紹介します。

リウマチに対しては、漢方は症状の緩和や体調の改善を目的として利用されます。特に関節の痛みや炎症を和らげるための処方が多く、また患者の体力や免疫機能の向上にも寄与します。

1. 当帰四逆加呉茱萸生姜湯（とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう）

この漢方薬は、冷え症や手足の冷えを伴うリウマチ患者に処方されることが多いです。体を温め、血流を改善することで、関節の痛みを緩和し、症状の改善を図ります。また、免疫機能の調整効果もあるため、自己免疫疾患に対しても有効とされています。

2. 桂枝加朮附湯（けいしかじゅつぶとう）

桂枝加朮附湯は、関節の腫れや痛み、寒冷感を伴うリウマチの症状を和らげるために使用されます。この処方は、体を温めて痛みを軽減する作用があるため、特に冬場や寒冷期にリウマチの症状が悪化する方に向いています。

3. 牛車腎気丸（ごしゃじんきがん）

牛車腎気丸は、腎機能の低下や下肢の冷え、むくみを伴うリウマチ患者に使用されることが多いです。特に、関節のこわばりや筋力の低下が見られる場合に効果が期待されます。腎を強化することで、体全体のバランスを整え、症状を改善します。

4. 防已黄耆湯（ぼういおうぎとう）

防已黄耆湯は、むくみや肥満傾向があるリウマチ患者に処方されることが多いです。この処方は、余分な水分を体から排出し、炎症を和らげる効果があります。特に関節の腫れがひどい場合に使用されます。

5. 独活寄生湯（どっかつきせいとう）

独活寄生湯は、関節の痛みやこわばりが強い場合に使用されます。抗炎症作用があり、関節の動きをスムーズにする効果が期待できます。また、長期的なリウマチ治療に適しており、患者の体力を補強する働きもあります。

漢方治療を始める前に知っておくべきこと

1. 体質に応じた処方が重要

漢方では、患者の体質に応じた個別の処方が行われます。これは、西洋医学の「一つの薬がすべての患者に同じ効果をもたらす」という考え方とは異なります。そのため、専門の漢方医やリウマチ専門医と相談し、適切な処方を受けることが重要です。

2. 効果が現れるまでに時間がかかる

漢方薬の効果は、西洋薬のように即効性があるわけではなく、体質改善を目的としているため、効果が現れるまでに時間がかかることが一般的です。数週間から数か月間の継続的な使用が必要な場合が多く、根気よく治療を続けることが大切です。

3. 他の薬との併用に注意

漢方薬は、西洋薬と併用しても安全な場合が多いですが、場合によっては薬の相互作用が問題となることがあります。漢方薬の使用を考える際は、必ずかかりつけの医師に相談し、適切なアドバイスを受けましょう。

専門医によるリウマチ治療に漢方を組み合わせる利点

1. 包括的な治療が可能

漢方は西洋薬とは異なり、症状のみにアプローチするのではなく、患者全体の体質や状態を考慮した治療が可能です。そのため、リウマチの根本

的な原因を改善し、再発を防ぐ効果が期待できます。

2. 副作用の軽減

リウマチの西洋薬には、長期間の使用に伴う副作用が問題となることがあります。漢方薬は、比較的副作用が少ないとされており、西洋薬の副作用を軽減するために利用されることが多いです。

3. 患者の体質に合わせた個別のケア

漢方治療は、患者の体質に合わせた個別の処方が行われるため、治療効果がより個別化されます。これにより、患者ごとの症状や体調に応じた柔軟な治療が可能となります。

まとめ

リウマチの治療において、漢方は重要な補完療法としての役割を果たしています。漢方治療は、西洋医学では得られない体質改善や免疫機能の調整に役立ち、長期的なリウマチ管理に寄与します。リウマチの症状に悩んでいる方は、専門医と相談の上、漢方治療を検討してみるのも良い選択肢です。

専門クリニックでの診察を通じて、最適な漢方処方と治療プランを見つけ、症状を改善していきましょう。

執筆者兼監修者プロフィール

湘南リウマチ膠原病内科

院長　上原 武晃

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