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更年期と骨粗鬆症

自分のご両親(特に母親)に、骨粗鬆症で身長が縮んだ、背骨が圧迫骨折して痛みやしびれで困っている、転んで骨折し、手術して人工関節をいれることになったなどの経験のある方はいらっしゃいますでしょうか?

 

骨粗鬆症とは骨量(骨密度)が減り、骨折しやすくなる病気です。骨粗鬆症で骨がもろくなると、つまずいて手や肘をついた、しりもちをついた、転んだ、咳やくしゃみをした、などのわずかな衝撃で骨折してしまうことがあります。

骨粗しょう症は特に女性に多い病気で、患者さんの80%以上が女性といわれています。

骨は骨を壊す「骨吸収」と、骨をつくる「骨形成」があり、バランスよく常につくり替えられています。女性ホルモン(エストロゲン)はこの骨破壊・骨形成を保つ働きをしています。しかし閉経によって女性ホルモンの分泌量が減るとバランスが崩れ、骨吸収がどんどん進んで骨形成を上回ってしまい、骨がスカスカになってしまうのです。

骨粗鬆症になる人の割合は年齢が高くなるほど上がり、特に女性は更年期に差しかかる50歳前後から骨密度が急激に低下するとされています。実際に、50歳以上の女性の3人に1人が骨粗鬆症にかかっています。更年期以降の多くの女性にとって、骨粗鬆症はとても身近な病気なのです。

骨粗鬆症に自覚症状はありません骨が折れて初めて気づくことが多い病気です。よく「歳をとると背が縮む」と言われていますが、骨粗鬆症による背骨の骨折かもしれません。骨粗鬆症になると、背骨(椎体)の骨折が起こりやすくなります。

椎体骨折のほとんどは、もろくなった椎体が上下に押しつぶされたように骨折する椎体圧迫骨折で、これが起こると背骨が曲がったり、身長が低くなったりします。骨折すると、痛みが起こりますが、なかには痛みを自覚しない人もいます。ある調査では、3分の2の人に痛みなどの症状が出ないと報告されています。

腰や背中の鋭い痛みや鈍い痛みはもちろん、「小さくなった?」と言われた、「背中が曲がっている?」「身長が縮んだ?」と思ったら、椎体骨折かもしれません。

 

骨粗鬆症が心配な方、診断されている方は半年~一年に一度検査をすることをおすすめします。

当院では骨密度測定で最も精度の高いデキサ法を採用しております。人間の骨には海綿骨と皮質骨といわれる2種類の構造に分かれています。骨粗鬆症の方の中には片方の種類の骨密度のみが低下している場合も多くあり、超音波などの簡易的な検査では判別のむずかしい、それぞれの骨の種類の骨密度をデキサ法では高い精度で調べることができます。検査方法は、足の付け根の骨(股関節:皮質骨の代表)と腰の骨(腰椎:海綿骨の代表)の撮影をするだけの簡単なもので10~15分程度で終わり、結果もすぐにわかります。レントゲンを使用しますが、放射線の量は胸部のレントゲンの50分の1程度と被爆の影響はほとんどありませんので安心して検査を受けていただくことが可能です。

当院では実際に更年期症状で受診された患者さん(4560歳)のうち、骨粗鬆症が発見された方が40と多く認められ、そのほとんどの患者さんは自覚症状が全くありませんでした。

近年では、骨粗鬆症の治療薬はとても効果の高いものも出てきておりますが、2年間の自己注射が必要なものなど、負担がかかるものもあります。

早期で発見できれば、飲み薬などで進行を抑えることができ、将来的な骨折の危険性も減らすことができます

また、更年期症候群の治療にも使われるホルモン補充療法は骨粗鬆症の進行を遅らせる効果もあるとされています。

骨粗鬆症ではない方や軽度の方は定期的な運動や日光浴、食事の改善(乳製品、小魚、海藻、野菜、大豆類を多くバランスよく摂取)をすることで骨密度が改善したり、保つことができます。中等度~重度の方は上記に加え、骨を作るのを助けたり・骨を壊すのを防ぐお薬をつかっていきます。

 

私たちは、自分が骨粗鬆症であることを知らず、ある時突然骨折をして痛みやしびれのせいで日常生活が不便になる高齢の方をたくさん診てきました。

大切なことは、45歳ころから自身の骨密度を把握しておき、減少していく様子が見られたら、早期から適切な骨粗鬆症の予防を行うことです

骨密度がしっかりしていれば、将来的な骨折を防げるだけでなく、いつまでもきれいな姿勢を保つことも可能になります。

今、ご自身の骨密度はどれくらいかご存じでしょうか?

わからないという方、前回検査してから1年以上経過している方はぜひ骨密度を確認していただくことをお勧めします。



執筆者兼監修者プロフィール

上原武晃

湘南リウマチ膠原病内科

院長 上原 武晃

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